院長ブログ
BLOG胃の検診は受けなくてもよい時代に突入しています。
2023年09月30日医療全般検診胃内視鏡検査
当院では会社検診の胃レントゲン(いわゆるバリウム検診)で異常を指摘されて受診される方は多いです。
その方たちがよく言われるのは「会社の毎年のバリウム検診がつらくて…ここのクリニックのように楽な胃カメラならいいのですが…」
と、皆さん口を揃えたようにおっしゃります。
そのような場合、私の解決策として「会社検診で無理にバリウム検査を受ける必要はない」という提案をします。
ご存じの方は少ないかと思いますが、胃のバリウム検診は血液検査や胸部レントゲン検査のような必須の検査(やらないと法的に問題になる検査)ではありません。会社が検診施設と契約する際にセット検査として胃のバリウム検査が組み込まれているだけなのです。このため、バリウム検診は必ず受けなければいけないわけではありません。もし会社が社員にバリウム検診を強要したらパワハラです。
もちろん、バリウム検査は胃がんが多い時代には活躍しましたが、現代の日本のように衛生環境が改善され、ピロリ菌が少なくなった状況では胃がんは恐ろしく少なくなりバリウム検診のデメリットのほうが目立つようになったのが現実です。
バリウム検診も合併症が皆無ではありませんし、放射線被ばくもあるため、私の大切な人だったら受けさせません。(ピロリ菌がいない事が条件になりますが)検診の際に断る勇気も必要です。
バリウム検診は昔の日本の様に胃がんが死因の一位になっていた時代に定着した検査になりますが、すでに役割を終えた感があります。
こんなことを書くと、お前は胃カメラが本業だからバリウム検診から胃カメラに誘導したいだけだろ!という突っ込みもありそうですが、バリウム検診だけでなく、私の本業の一部である胃カメラですら必要性は少なくなってきています。
私自身は最近の胃がんの少なさを考慮に入れたら「多くの国民に提供する検診としての胃の検査」は終わる運命だと考えています。
この考え方はあくまでも検診に限った話です。胃痛などの症状があり受診された方への話ではありませんので誤解がないようにお願いします。
この記事を書いた人
福島 正嗣理事長
福島 正嗣理事長
聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医大消化器病センター、東京都保険医療公社多摩南部地域病院など多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化管外科、消化器内視鏡検査、内視鏡検査、内視鏡手術を担当。港北ハートクリニック内視鏡センター内視鏡センター長として勤務後、2017年みらい胃大腸内視鏡クリニック開院。
2020年医療法人社団正令会理事長に就任。