院長ブログ
BLOG消化器の医師で便潜血検査を受ける人はいません。
2022年10月05日大腸がん大腸内視鏡検査
便潜血の記事は何度か書いているですが、未だに勘違いをしている人が多いので再度投稿します。
皆さんが検診で受ける項目で便潜血検査がありますが、これは対策型検診と行って、ある集団から大腸がんの人を一人でも少なくしようという目的で行われます。
例えばある市に100人の大腸がんもしくは大腸がんになりかかっている人がいると仮定します。
この100人を検診を行うことにより全員助けたいのですが、現代の医療レベルでは検診を受けることで100人をもれなくピックアップして医療を受けて頂き大腸がんで命を縮めることを防ぐと言うことは出来ません。
そうはいっても何もしないわけにはいかないので大腸がん検診として便潜血検査という方法をとっています。
この検査を行い100人全員は助けられないが20人か30人ぐらいなら助けられれば良いという考え方で行っているのです。もちろん検査を受けないよりは受けた方が良いですが、この検査結果を信用して大腸内視鏡検査は怖いから受けないという考え方は私の中ではあり得ないですし、消化器の医師で便潜血検査だけで安心している医師は見たことがありません。
このため100人のうちに誰かは助かるが、助からない人も多いというのが現実です。
当院に受診されている患者さんはこの当たるも八卦当たらぬも八卦の様な検査を信用して便潜血が陰性なら大腸がんでは無い勘違いしている人があまりにも多すぎます。
しかし便潜血検査は集団検診として優れているのは疑いの余地はありません。それは検査を受ける合併症を考えなくても良いからです。大腸内視鏡検査のようにリスクを考える必要もありません。しかし合併症も無い検査の精度はそれなりですし、便潜血検査をうけて助かる人があなたかどうかは分からないと言うことは理解する必要性はあります。
この記事を書いた人
福島 正嗣理事長
福島 正嗣理事長
聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医大消化器病センター、東京都保険医療公社多摩南部地域病院など多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化管外科、消化器内視鏡検査、内視鏡検査、内視鏡手術を担当。港北ハートクリニック内視鏡センター内視鏡センター長として勤務後、2017年みらい胃大腸内視鏡クリニック開院。
2020年医療法人社団正令会理事長に就任。