内視鏡で胃潰瘍が見つかると胃がんとの鑑別の為に組織を取って調べる事は良くあります。
良性の胃潰瘍と胃がんでは治療方法と予後も全く違いますので間違いは許されないです。
この時に患者さんからよく受ける質問として…　胃潰瘍をほっておくと胃がんになるんですかというのがあります。

胃潰瘍と胃がんは形が似ているだけで、胃潰瘍はがんにはなりません。

胃潰瘍は大腸ポリープのように放置するとがんになる病気ではありません。
誤解の原因となっているのは胃潰瘍と胃がんは形が似ているからなのです。
病態は全く違うのに結果として現れる形は似ている為、特に初期では鑑別が難しい場合もあります。
この為、私は胃潰瘍がある場合は必ず組織検査を行い、胃がんでない事を確認します。よく経過観察の内視鏡検査で治っていれば胃潰瘍で治らない場合は胃がんで良いのではという医師もいますが、がんの潰瘍も一時的に治ったように見える場合がある為、油断は禁物です。悪性サイクルと表現されますが、見た目上治っているかどうかは、がんを否定できないのです！

確定診断として胃潰瘍の場合、胃がんに移行する事はないので、潰瘍を治すことに専念すれば大丈夫です。

典型的な胃潰瘍です。